Splendor of Ours – the first part –

Prologue〜序章

 どんぶり島の遙か北に「魔の海域」と呼ばれる場所がある。
 そこは常に厚い雲に覆われ、雷鳴と暴風が渦巻いている。
 そして、通りかかる船舶や航空機の磁石を狂わせ、悉く飲み込んでしまうため、誰一人近寄ろうともしない。
 だから、誰も知らない。
 この「魔の海域」の中心に、一つの国があることなど。

 その国の名は「ふしぎの国」
 ファンタスティックアイランドと呼ばれる、小さな島にある小さな国。
 島を取り巻く雲と嵐のため、他国との行き来もできず、実りも決して豊かではない国。

 だが、ふしぎの国には他国にはない唯一無二の秘宝がある。
【しあわせのハープ】――古くからそう呼ばれるその弦楽器は、まさに神器と呼ぶに相応しい音色でふしぎの国の住民たちの心に安寧をもたらし、住民たちはその恩恵の下、平和に慎ましく暮らしていた。
 その【しあわせのハープ】を爪弾くのは、女王・メロディ。
 一年前、流行病が原因で崩御した父・テノール前国王に代わり即位したばかりの、まだ若く美しい女王である。
 ここ数年、不作と疫病に喘ぐふしぎの国であるが、摂政であるナンセンス大公や防衛軍最高司令官ワンダー将軍を始めとする家臣たちに支えられながらも、よく国を治めている。

 そして、とある木曜日の朝から、この物語は始まる――

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