Splendor of Ours -the latter part-

 ツインビーチームは、予想外にも苦戦を強いられていた。
 エレキドールエミリーは光線(レーザー)や誘導弾(ミサイル)といった圧倒的火力で、ツインビーチームを追い詰めていた。特に、誘導弾については、一発一発は小型で威力も小さいが、一度に大量に発射してくるので厄介だ。しかも、後先考えずに無茶苦茶な攻撃をしてくるため、周囲にも甚大な被害を与えていた。
「お兄ちゃん、このままじゃ拙いわ」
「わかってるよ。でも、光線や誘導弾をああも派手にばらまかれちまうと、とても近づけないぜ……」
「にーちゃ、ぐーぐー(兄ちゃん、良い考えがあるよ)」
 状況を打開すべく、ミントが提案する。曰く、発射された誘導弾(ミサイル)を全て打ち返し、その隙にナンセンスに近づき操縦機(コントローラ)を奪取してしまえばいい、と。
「……ミント、お前なぁ、簡単に言うなよ」
 とは言うものの、切羽詰まった現状で代案などおいそれと出てくるものでもない。やむなくミント案を採用することになった。誘導弾打ち返し役はツインビーとウインビー、操縦機奪取役はグインビーだ。
「それじゃ、作戦開始だ」
 ライトの合図とともに、散開する三機。
「大公なんて偉そうに言ったって、大したことないな。所詮その程度かよ?」
 相手の矜持を逆撫でする台詞で、挑発するツインビー。ウインビーも注意を惹き付ける台詞を言おうとしていたが、止めた。あの自尊心が高く神経質そうな小父さんには、あれで十分だわ――
 そしてパステルの思った通り、
「言わせておけば……そなた等のような餓鬼どもに、この国の、この私の何がわかるザマス!」
 ナンセンスは激昂のあまり、完全に冷静さを欠いていた。大量の誘導弾が、砲煙弾雨となって襲いかかる!
「行くぞパステル! 気を抜くなよ」
「お兄ちゃんこそ、油断しないでね」
 それに対し、大槌(ハンマー)と長帯(リボン)を構え、真正面から迎え撃つツインビーとウインビー。ベルパワー、充填(チャージ)完了!
「PIKO HAMMER!!」
 ツインビーの大槌が、誘導弾(ミサイル)を次々と打ち返し、
「RIBBON ATTACK!!」
 負けじと、ウインビーの長帯も誘導弾を薙ぎ払う。
「おのれ、餓鬼のくせに猪口才な!」
 ナンセンスは光線(レーザー)を発射しようとした。しかし、頭に血が上っていたナンセンスは、ついに気がつかなかった。グインビーがいつの間にか見えなくなっていることに。自分のすぐ背後に接近していることに。
 グインビーは横からそっと手を伸ばし、
「げっとー!(操縦機(コントローラ)は貰ったよ!)」
 ナンセンスの手から操縦機を奪い取った。が、勢い余って、
 べきべきっ!
 掌で操縦機を握り潰してしまった!
「な、な、な、な、何をするザマス!」
「●やばい……やっちゃったビ……」
 ナンセンスも、ミントも、グインビーも一斉に青ざめた。操縦機が壊れたということは、エレキドールエミリーが操縦不能になったということ。しかも、戦闘様式(モード)のままで。
「まじゅ~……(拙いぞ、このままだと……)」
 一瞬の沈黙の後。
 エレキドールエミリーは頭部や両腕を滅茶苦茶に回転させ、誘導弾(ミサイル)をまき散らしながら、広間を縦横無尽に駆け回り始めた。所謂「暴走(スタンピード)」状態だ。
「おいミント、どうしたんだ? 何があった?」
 突然暴走を始めたエレキドールエミリーに、困惑するライトとパステル。大槌(ハンマー)や長帯(リボン)で凌ぐのも、もう限界だ。
「ごめ、にーちゃ、ばらばら……(ごめん兄ちゃん、操縦機(コントローラ)を壊しちゃったんだ……)」
「▼グインビー、何やってるビ?!」
「●ごめんだビ……」
 だが、起きてしまったことを今更どうこう言っても始まらない。早急に次の手を打たないと、被害が広がるばかりだ。
「あ! みんな、あそこを見て!」
 パステルがナンセンスの姿を発見した。ナンセンスは散々振り回されながら、エレキドールエミリーの頭髪に必死にしがみついていた。だが、このままでは振り落とされるのも時間の問題だろう。
「何とか助けましょう」
「本気かよパステル? 俺等こいつの所為で散々な目に遭ってるんだぜ?」
「例え悪い人でも、こんなことで死んでいいわけないわ。それに、そんなこと言ってると、メローラ姫が悲しむわよ」
「ぐっ……わかったよ」
 痛いところを突かれたライトは、渋々パステルに同意した。だが、状況はさっきよりも酷くなっている。
 その時、上方からめきめきと何かが軋むような音がした。何の音だ? ツインビーチームが見上げた瞬間、天井の一部分がエレキドールエミリーの真上に崩落してきた!
「ナンセンス大公!」
 反射的に飛び出したツインビーチームだったが、誘導弾(ミサイル)に阻まれ、ナンセンスの下へ辿り着けない。そして、
 どしゃっ!
 エレキドールエミリーは呆気なく押し潰され、ようやく沈黙した。悲鳴も上がらなかった。恐らく、天井が崩れてきたことにも気付かなかっただろう。

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