Splendor of Ours -the latter part-

Collapse and Revival~崩壊と再生

 燃え盛る宮殿の中、ツインビーチームは必死に探索・救出活動を行っていた。探しているのはナンセンスと、ナンセンスが持っていたはずの【しあわせのハープ】だ。
 ツインビーが瓦礫の一つを持ち上げると、その下から奇妙な形状のものが現れた。微細な彫刻が施され優美な曲線を描く白い胴体(ボディ)、七色に輝く二十六本の弦(ガット)――
「★ライト、あったビ! 【しあわせのハープ】だビ!」
「でかしたぞツインビー! 回収してくれ」
 瓦礫を横に退けて、ツインビーは【しあわせのハープ】に手を伸ばす。
「動くな、ツインビーチーム」
 火事場の喧噪を切り裂いて、野太い男声が響いた。
「少しでも動けば、女王陛下の御身の安全は保証しない」
 声の主――ワンダーがメロディとエースを伴って現れた。エースは眉間に皺を寄せ苦悶の表情を浮かべながらも、メロディの背後に立ち銃を突きつけている。
「ワンダー将軍?! そんなこと言ってる場合じゃない。ナンセンス大公が近くにいる筈なんだ!」
「聞こえなかったのか? 動くなと言ったぞ」
 ワンダーは腰の長剣(サーベル)を抜き払うと、鋒(きっさき)をメロディの胸元に突きつけた。
「……あんた、正気かよ?」
「儂は狂気になど微塵も囚われておらぬ。我が宿願のため、例え儂一人になろうとも、計画は遂行する」
 ほんの少し前まで謁見の間であったはずの空間をぐるり見渡すと、ワンダーは続けて言い放った。
「エレキドールエミリーは未完成だった。それを勝手に持ち出した結果がこれだ。この状況では、閣下の生存は絶望的だが、自業自得と言わざるを得まい」
 そのあまりにも冷酷な言い分が、ライトの癪に障った。ぎりり、ライトの奥歯が軋む。
「そんな言い方はないだろう?! 仲間じゃないのかよ?」
「何とでも言うがいい。壁際まで下がれ。無論全員だ」
 メロディを人質に取られている以上、従うほかない。ツインビーチームは言われるままに【しあわせのハープ】から離れ、一番近い壁際まで下がった。
 それを見届けると、ワンダーは自ら【しあわせのハープ】を回収し、メロディの眼前にわざわざ掲げた。
「女王陛下、既に【しあわせのハープ】には『弦』が張られております。あとは『歌』さえあれば、我等はハープの強大なる真の力を得られるのです」
「ですから、何度も言っているように、私はそんな『歌』など知らないし、聞いたこともありません!」
「そんな筈はない。テノール様とアルト様から、ハープと共に受け継いでいるはずです。思い出しなされ」
「思い出すも何も……本当に……本当に知らないのです」
「まだそのような……む?!」
 ワンダーが背後に何者かの気配を感じたのと、上方からべきべきっという鈍い音がしたのは、ほぼ同時だった。
「まずい、また崩れるぞ!」
 先の教訓を活かし、上方へ飛び上がるツインビーチーム。今度は外壁の一部が崩れ落ちてきたのだ。このままだと、メロディたちまで下敷きになってしまう。
「★止めるビ!」
 ツインビーたちは崩落する外壁を支えたが、外壁に圧されるように失速し、着地してしまった。
「どうしたツインビー?」
「★……ベルパワーを使い過ぎたビ。力が出ないビ」
 ライトはツインビーの残存ベルパワー量を照合した。エレキドールエミリーの誘導弾(ミサイル)を打ち返すのに相当消耗したようで、空になる一歩手前だった。すぐに活動限界が来るだろう。
「▼パステル、ごめんだビ。ベルパワーがあれば、こんなの楽々はね返せるのに……」
「●僕たちは永く保たないビ。ミント、皆と逃げるビ……」
 間もなく活動限界を迎えるツインビーたち。燃え落ちる宮殿。ぎりぎりの状況は、メロディたちを探している余裕も与えてはくれないようだ。ライトは統率者(リーダー)として決断を下した。
「……わかった。宮殿から脱出する」
 ライトはツインビーから降りると、
「悪いなツインビー」
「★操縦者(パイロット)を守ることが、オイラたちの最優先事項(プライオリティ・ワン)だビ。気
にすることはないビ」
 嫌がるパステルとミント、そして依然失神したままのフルートを連れて宮殿から脱出した。

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