Splendor of Ours -the latter part-

 唐突に、手術中のランプが消えた。
 執刀を担当した医師は言う。
「最前は尽くしました。あとは、将軍閣下次第です」
 長時間の手術に耐えたワンダーは、メロディの計らいで個室に入った。しかし医師が言うとおり、予断は全く許さない。
 ワンダーの枕元で、エースはひたすら義父の回復を祈る。その隣で、メロディはある一つの決断を下した。
 ――やはり、そうするのがいいんだわ。
 ――お父様、お母様、私に勇気を下さい。
「フルート、怪我をしているところ申し訳ないのですが【しあわせのハープ】の調律をお願いします」
「女王様? 今、演奏なさるというのですか?」
 メロディがそれを望むというのなら、フルートに否はない。早速調律を始めた。七色の光彩を放つ特殊な『弦』は通常の弦とは明らかに違う素晴らしい音色を奏でだして、フルートを心酔させた。
「女王様、調律完了です」
「有り難うフルート」
 メロディは【しあわせのハープ】を受け取ると、無心に祈り続けるエースの隣に座り、ハープを爪弾きだした。エースは思わず顔を上げ、メロディの顔を覗き込む。その旋律は、エースの記憶の一番大切な場所に仕舞われていたものと同じだったからだ。
「ごめんなさいエース、今の私は何も出来ません。だからせめて、ハープを弾きます。あの子供の頃のように……」
 メロディは再びハープを爪弾く。そして旋律に併せてごく自然に、歌を紡ぎ始めた。
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 ♪ You have been lost in sadness
 ♪ Holding fear and anxiety
 ♪ Please share your sadness with me
 ♪ To recover yourself
 ♪ Let me know what to do for you
 ♪ Light of universe is accepted
 ♪ And soon hope will grow up in your heart
 ♪ You can do it again
 ♪ Don’t give up
 ♪ Your dream will come true
 ♪ And now SPLENDOR OF OURS will lead us
 ♪ To our fine tomorrow
 ♪ I’ll be always here
 ♪ I swear that I’ll surely guard you
 ♪ We can live with supporting each other
 ♪ So , you don’t have to fall in loneliness…

 エースも驚いたが、何よりメロディ自身が一番驚いていた。子供の頃にたった一度聞いたきりの歌を、正確に再現したのだから。あの時の夢を見たからだろうか?
「女王様、女王様! ご覧下さい! ほら!」
 フルートが歓声を上げる。見ると、包帯が全て外され綺麗な肌が顔を覗かせていた。メロディが歌い始めてからみるみる怪我が治っていき、完治したという。
 妖精族の最長老(エルディスト)なら、他人の怪我を回復させることもできるだろうが、そんな力が振るわれた形跡はない。
 そこへライトたちが慌てた様子で飛び込んできた。
「大変だ! 焼けたはずの宮殿が、元に戻ってる!」
「私の怪我もすっかり治ったし、ウインビーたちもベルパワー満タン充填(フルチャージ)したって!」
 その足下では、活動限界寸前だったはずのツインビーたちが、小型化してミントと戯れている。
「そんな……一体何が起きたというんだ?」
 次々寄せられる、俄には信じがたい奇跡の報告。エースが窓の外を見遣ると、ライトの言うとおり、宮殿が元の美しい姿を取り戻していた。
「……驚くことはない。それこそが【しあわせのハープ】の真の力よ……」
 そして最後に、待ち望んでいた奇跡が顕れた。
「ほら、ちゃんと憶えていらっしゃるではありませんか……」

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