Splendor of Ours -the second part-

In their childhood…~子供の頃は……

 ナンセンスによるクーデター勃発から二日。
 メロディはその間、殆ど眠れずにいた。
 幽閉されている所為で、幸か不幸か、時間はたっぷりある。しかし、ふしぎの国で最も高く、そして最も古いメビウスの塔の最上階を訪れる者はない。せいぜい食事や茶を運んでくる衛兵と、時折様子を見にやって来るワンダーくらいである。かといって、手慰みのために用意されたであろう書物やカードには触れる気にもなれなかった。
 そうなるともう、様々に考えを巡らせ思索に耽ることくらいしか、メロディにできることはない。先刻届けられたばかりの焼きたてのクッキーや淹れたての薔薇の紅茶にも手をつけず、部屋の中央に置かれたソファに腰掛けた。
 フルートは無事に『結界』の外へ出られたのかしら? 思索はそこから始まり――何故小父様はナンセンス大公に荷担しているの? ナンセンス大公を摂政に任命しなければ、こんなことにならずに済んだの? そして――
「エース……」
 気が付くと、幼馴染みの名前を口にしていた。慌てて辺りを見回す。当然誰もいない。ほっと安堵するメロディ。だが、頬のあたりに妙な火照りを感じた。
 落ち着かなくては――メロディは薔薇の紅茶を一口飲んだ。程よく冷めた紅茶はすんなりメロディの喉を潤し、微かな薔薇の香りはざわめく心を落ち着かせた。
 ふぅ……溜息と共に落ち着きを取り戻したメロディだったが、程なく今度は睡魔に襲われた。そういえば殆ど眠っていなかったわ――メロディは睡魔に誘われるままにソファに全身を委ねる。心地よい弾力を持ったそれは、メロディを深い眠りへと誘った。

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