STARTING LEGEND

 ある日、シナモン博士は外宇宙からの救助信号を受信した。
「私は惑星メルの王女メローラです。私たちは今、惑星イーバの手により滅ぼされようとしています。どうか私たちの星を救って下さい……」
 シナモン博士は信号の波長から惑星メルの位置を算出し、ツインビーとウインビーを救助に向かわせた。
 惑星メルに到着したツインビーたちは、空中要塞に囚われていたメローラを救出し、惑星メルをイーバ星人の手から解放するべく行動を開始した。
 救出されたメローラは語る。
「イーバ星人は戦争で母星を失い、放浪の末にこの惑星メルを発見したそうです。そして彼らはこの星への移住を求めてきました。しかし、私たちは彼らの要望を拒否せざるをえませんでした。何故なら彼らは『邪なる意識の集合体(ダーククラスター)』に支配されていたからです。惑星メルは『正なる意識の集合体(シャインクラスター)』の加護を受けし星、私もその分身の一人に過ぎません。イーバ星人が本来邪悪な存在ではないとわかっていても、残念ですが共存することはできないのです。その後、彼らは圧倒的な軍事力でこの星を制圧にかかったのです……」
「なるほど、大体事情はわかったよ。でも『正なる意識の集合体』……だっけ? いまいちよくわからないんだよな」
「難しく考えなくていいのですよ。争い事を止めよう、困ったことが起きたらお互いに助け合おう……人々の中のそんな思いが集まったもの。だから『正なる意識の集合体(シャインクラスター)』は宇宙に普く存在するのです」
「でもメローラ姫は人間……だよね?」
「はい。私はこの惑星メルを見守るために転生してきました。だから、この命が尽きたとき、私は『正なる意識の集合体』に還ります」
「そんな言い方止せよ! そういうのは嫌いだ。要するにキミは神様の生まれ変わりみたいなものなんだろうけど、今は人間で生きてるんだろう? だったら死んだときのことなんて言うなよ」
「……そうですね、ライトさんの言うとおり、私は今メローラとして、人間として生きている……ちょっと弱気になっていたみたいですね」
 ごめんなさい、と苦笑するメローラ。どうしてライトさんの前だと、こんなに素直になれるのだろう?
 ライトの胸の鼓動が高鳴る。どうしてメローラ姫の前だと、こんなにドキドキするのだろう?
 彼が気になる。
 彼女が気になる。
 彼に話しかけたい。
 彼女に話しかけたい。
 なのに、言葉が見つからない。
 沈黙だけが雄弁だった。
 結局、パステルがツインビーの整備のことで呼びに来るまで会話らしい会話もなく、この場はこれで終わったのだった。

 ツインビーたちの加勢により士気が上がったメリーズ軍は各地で勢力を盛り返し、戦況は徐々にメリーズ軍が優勢になっていった。
 しかし、メリーズ軍もイーバ軍も互いに疲弊していた。通常の戦争ならここから和平交渉という選択肢もあるが、残念なことにイーバとメルは互いに相容れない存在。イーバがメルから完全撤退するか、メルがイーバに完全服従するか――道は二つに一つ!
「だったら、もう短期決戦しかないな」
「これ以上戦争を長引かせられないものね」

 ツインビーたちはイーバ軍の最終防衛線・イーバ神殿を突破、ついにイーバの地底都市へ侵入した。
 そこには、人が到底生きられないほどの瘴気が満ちていた。その奥の奥のそのまた奥に『それ』はいた。
『それ』はイーバ星人の支配者。見るもおぞましき巨躯。強大な力で一方的にツインビーたちを圧倒する異形の存在。
 片やツインビーたちは障壁(バリア)を剥がされ、機体も瘴気に侵食され、ベルパワー残量もあと僅か。
 やはり『邪なる意識の集合体(ダーククラスター)』の分身・脳味噌昆虫には敵わないのだろうか?
「パステル、今のうちにお前だけでも逃げろ!」
「お兄ちゃんはどうするの?」
「こいつを何とかする。こいつは今ここで倒しておかないとダメだ!」
 こいつはヤバい! 危険だ! ライトの本能が恐怖で悲鳴を上げていた。
「そのとおりです。『それ』はこの星を支配するだけでは収まらず、貪欲に力を蓄えて成長し、いつかライトさんたちの星をも侵略するでしょう」
 コクピット内に何処からともなく響く声……メローラの声だった。
「そんな……うそでしょう?」
「私は今、心を決めました。みすみす死なせはしません。勇気あるあなた方に『それ』を退ける力を授けましょう!」
 言葉とともに純白の閃光がツインビーとウインビーを包み込んだ。『正なる意識の集合体(シャインクラスター)』の強大な加護だ。バリアが復活し、瘴気は払われ、ベルパワー残量もフルチャージ!
「いくぞ!」
 裂帛の気合とともに脳味噌昆虫に立ち向かう、ツインビーとウインビー。
 加護の力の強大さに怯みながらも、攻撃の手を緩めない脳味噌昆虫。
 ウインビーの後方支援を受け、ツインビーが剣林弾雨の間隙を縫って接近する。その距離、零!
「これで終わりだ!」
 至近距離から放たれた渾身のショットが、脳味噌昆虫の核(コア)を撃ち砕く。
 AAAAAAAAAAAGH……!!
 醜い断末魔をあげて消えていく脳味噌昆虫。
「やった……!」
「これで、メルに平和が……」
 そこにメローラの側近から通信が入ってきた。
「ライトさん、パステルさん、早く! 早くお戻り下さい! メローラ様が!」
 しかし、勝利のために払った代償はあまりに大きいものだった……
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